更年期女性に対しての美容外科治療(主に注入剤について)
神田美容外科形成外科医院の征矢野進一院長は、皺や陥凹の治療に用いられる各種注入剤(コラーゲン、ヒアルロン酸、ボツリヌス毒素、ポリ乳酸)について、その適応や注入方法、治療成績を報告しています。
使用される注入剤の特性
コラーゲン
皮膚の構成成分の70%を占めるタンパク質で、真皮の浅い層に注入して使用されます 。ウシ由来(ザイダーム等)は事前の皮内テストが必要ですが、ヒト由来(コスモダーム等)はアレルギー反応の心配がなく、安全に使用できるとされています。
ヒアルロン酸
隆起力が大きく、効果持続期間もコラーゲンより長いため、深い陥凹などに用いられます 。一方で、浅い皺には不向きであり、薄い皮膚への注入は凹凸が目立つ可能性があるため事前の説明が必要とされています。
ボツリヌス毒素
筋肉の収縮を止めることで、目尻、額、眉間などの皺の出現を抑えます 。単独使用のほか、他の注入製剤との併用も有効ですが、効果期間は3ヵ月程度とされています。
ポリ乳酸
陥凹部分を隆起させるために用いられますが、効果の発現には約3ヵ月程度の経過観察を要します 。頬の陥凹や顎の隆起などに有効です。
症例による治療成績
各薬剤を用いた具体的な臨床結果は以下の通りです。
額と眉間の皺
ザイダームIIの注入により、2週間後には皺が目立たない程度に改善しています。
- 額と眉間の皺. 治療前/ZydermIIを注入
- 治療2週/眉間と額の皺は浅くなった
目尻と下眼瞼の皺
ザイダームIやアテロコラーゲンが用いられ、2週間後には皺が浅くなったことが確認されています。
- 目尻と下眼瞼の皺/治療前/目尻には ZydermIを下眼瞼には Atelocollagen1%を注入
- 治療2週後/目尻と下眼瞼の皺は浅くなった
鼻唇溝(ほうれい線)
ヒト由来コラーゲン製剤を注入し、2週間後には左右ともに皺が浅くなる結果を得ています。
- 鼻唇溝の皺の治療前/注入部位は青く点をつけている/Cosmoplastを注入
- 治療2週後/鼻唇溝の皺は浅くなった
合併症と副作用
合併症
刺入時の疼痛、皮下出血、注入剤の濃度が高すぎることによる「ビーズ反応(白い凹凸)」などが挙げられます。
副作用
ウシ由来コラーゲン製剤では、皮内テストが陰性であっても数ヵ月以内に発赤腫脹を起こす「遅延型陽性反応」の可能性があり、注意深い観察が必要です。また、血管内への注入等による皮膚壊死についても対策が必要であると指摘されています。
本稿は、征矢野進一「更年期女性に対しての美容外科治療(主に注入剤について)」『更年期と加齢のヘルスケア』Vol. 4, No. 1, pp. 74—79, 2005の内容を元に構成しています 。























